NICEプログラムで初のテスト

人間を怖がらないハワイの鳥

 午前中のアダルトスクールでは、ボランティアのSヴとMルという二人の男性がきていた。隣の部屋で、個人レッスンをしてくれる人なのだそうだ。なんという贅沢な。私は最初にSヴに呼ばれた。他の人は通常どおり授業をしているが、呼ばれた人だけ隣の部屋に行ってマンツーマンで話をするのだ。
 ちょっと自分のことを話して、今は午後の学校に通っているというと驚いていた。また、それは1時間?2時間?と聞かれたのでだいたい4時間というとさらに驚いていた。「じゃあ君は、8時から4時半まで勉強しているということになるね」といわれた。途中移動があるので厳密には違うが、感覚的にはそんな感じである。それから日本では何をしていると聞かれたので、9月までは働いていたけど辞めてしまった、と言った。私の勤めていた会社を言うと知っていた。外資系で親会社はアメリカの大きな会社なので、たいていのアメリカ人やヨーロッパ人は知っているのだ。あまりに仕事が忙しくていやだったというと、「エキサイティングじゃなかったんだね?」というので、「仕事はエキサイティングだった、しかし忙しすぎて好きじゃなかった」ということを言った。思えば確かに普通の会社では味わえないほどエキサイティングでやりがいがあった。いつも新しいことをさせてもらえた。しかし私の人生をすり減らしてしまうほどのものではなかった。あのまま仕事を続けていたら、私の人生がすり減ってしまうと思った。Sヴは私に「You are BRAVE!」と言った。辞書で調べると、勇敢とか、勇気があるとかいったこと。確かに勇気がいることだ。それなりの収入のある職業を捨て、次の仕事も将来の行く末も決まっていないまま留学をしてしまうのだから。さらに私は両親と暮らしているわけではないので、余計にそう思われたのかもしれない。
 Sヴとは、これからどのようにレッスンしていこうかという話をした。あなたは何を勉強したい?と聞かれた。人によって、どこをどうやって伸ばしていきたいかが違うから、その人に合わせたレッスンをするということだった。私は特にカンバセーションをしたいが、テキストも使いたいといった。なぜならただだらだらと会話しているだけでは、今まで使ったフレーズしか使えないからである。午後に行っている学校の教科書はある? と聞かれたのであると答え、今持っていると言って見せると、じゃあこうしよう、と提案してくれた。「学校で教科書の内容をやった後に、よくわからないところや、宿題でよくわからないところを一緒にやるのはどうかな」と。グッドアイデア! グレイト! 楽しい授業になりそうだ。しかしこういうことをボランティアでやっている人がいるなんて、すごいと思う。いろいろな人がいるものだ。きっと日本にもそういう団体や試みがあるのだろうな。日本に戻ったらそういうことに少し参加してみたいと思ったりした。
 10時からのクラスでは、初日のNコさんと隣の席になった。とてもよく話しかけてくれる人で、興味深い。話の中で「こっちにずっと住みたい?」と聞かれ、「いやあ、まだわからないですね」というと、「やめたほうがいいわよー」という。日本人とアメリカ人の夫婦はこちらではとても多いが、たいていは共働きで、経済的余裕がないために子供を作れない人が多いという。そういえば学費が高いと、昨日話したAコさんも言っていた。


 午後のNICEプログラムでは、Accuracyクラスで全員とそれぞれ会話をした。各人が5つの文章を作り、そのうちひとつだけ嘘を入れるというもの。韓国人のMンと話しているときに、私の「I like studying English」という文章がうそだと言われた。違うよ、というと、君は英語の授業が好きじゃなさそうだと。確かに私はAccuracyクラスでは、いつも面白くなさそうに授業を受けている。よくないかも。
 Fluencyクラスはテストだった。それぞれテーマを決めて2,3分でプレゼンテーションをするというもので、かなり時間を割いて準備をしてきたのだ。私はHobbyがテーマで、Hulaのショーとレッスンを紹介することにしていた。
 指定された部屋に行くと、他のクラスの人たちも入ってきた。二クラス合同でテストをするのだろうか。話を聞くと、私たちのクラスは3人一組でグループになり、もうひとつのクラスは2人一組でグループになり、それぞれを合わせて5人のグループを作るように言われた。私たちのクラスの3人は、他の2人に対してプレゼンテーションをし、他の2人はそれに対して質問をするのだ。グループごとに10分間で、それが終わると時計回りにローテーションをする。何とまあ面白い。私たちのクラスはプレゼンテーションのテスト、もうひとつのクラスはヒアリングや質問のテストということだ。5回説明をしたので疲れてしまったが、なかなか面白かった。最後にお互い誰のプレゼンテーションがよかったか、また誰が一番の質問者かという投票をした。これが成績にかかわるかどうかは知らないが。
 しかしそういえば、私は途中で少々Bイに怒ってしまった。彼女は事前に、プレゼンテーションには写真やノートを使用してもいいと言っていた。ただシナリオのように書いてそれを覚えたり、読むのではいけないといっていた。だから私は紹介するイベントの時間や曜日など、それから説明することの要点を書いたメモを用意して行った。そうしたら途中でそのメモをBイにとられたのだ。そしてそれを持ったままクラスの外に出て行ってしまった。私はそれを読んでいるわけではないし、暗記しているわけでもないし、カンニングでもない。それなのに「Try Try」と言って、見ないでやってみなさいということを言うので、「私は暗記しているわけではないので、これが必要です。あなたは以前ノートを使っていいと言ったじゃないの!」と怒ってしまった。初めて怒って英語を使った気がする。貴重な経験だ。Bイは逆切れするかと思ったが、すんなり返してくれた。怒りすぎたかも、と思ってしまった。
 Pronunceのクラスはいつも楽しい。今日は顔の前にティッシュをあて、Aspirationの練習をした。Pick、Parentsなど、最初にPが来るものの多くはティッシュが大きく揺れるほどに息を強く吐くのだという。それから早口言葉、英語ではTangtwisterというのだそうだが、その練習もした。日本にはある? と聞かれてあると答えると、例えば? といわれたので「なまむぎなまごめなまたまご」と答えた。なんか楽しい、これは英語の勉強ではないが。
 Pロが楽しい人だというのもあるが、おそらくわかるから楽しいのだ。しかしわかりやすい授業ばかりだったら自分で勉強しないと思うので、自分の実力よりもレベルの高いクラスも大切だと思う。
 そういえばあさってはPronunceのクラスのテストらしい。