新しい同居人

Drug-Free Hawaii

 ステイ先に新しく同居人がやってくるというので、またBイと空港へ迎えに行った。
 今回は別々に来る二人で、二人の男の子が来ると言う。一人はNICEプログラムの3週間コースで、もう一人はLゾやMミと同じGVだそうだ。
 車の中でBイと話していると、「インフォメーションでは男となっているが、エージェントの担当者のメールだとSheと言っている。名前は女みたいだし、どちらかわからない。私は多分女だと思う」と言っていた。あら、そう。
 空港に着いて、Bイがレイを空港で買って、それから迎えにいった。前のようにプレートをかかげていたが、日本人はあまりいなかったようだった。Bイが先に女の子をみつけて、その子はプレートを見て近づいてきたので、やはり女の子だった。
 23歳の女の子で、かわいい子だった。Nサちゃんという。もう一人が到着するまでちょっと時間があったので、Burger Kingへ行って朝食を食べた。Bイが英語で話しかけていたが、その子は結構英語も話すし聞き取りもできるしで、とても過ごしやすかった。Bイがトイレへ行っている時に「いい人そうでうれしい。よかった」と言っていた。彼女はオーストラリアでホームステイをしたことがあるが、けっこう冷たい人が多かったらしい。
 その後でもう一人を迎えに空港に戻った。Bイいわく、彼はオレンジヘアーで頭がパンクのようらしい。出口で待っていると、たくさんのホストファミリーが迎えに来ていた。Nサちゃんは、「ハワイはみんなホストファミリーが迎えにくるんだね。オーストラリアではエージェントの人が迎えに来てたけど」と言っていた。「やっぱりハワイは穏やかなのかな、みんな優しそう」と。確かにどの人もにこにこしていて(もう結構みんな顔見知りなのだ)確かに優しそうな感じだった。
 ずいぶん待って、やっとAラが現れた。入国審査にずいぶん人が並んでいて、それで遅くなったらしい。私がレイをかけてあげたが、Bイが「My doughter」などと紹介するので、Aラは「Oh beautiful」などと言っていた。日本人だとわかっていたら言わなかっただろうな。そして別にパンクじゃないと言っていた。たまたまそういう写真を送ってしまったらしい。
 空港を出て、またUHに行く道を教えたり、GVの場所を教えたり、バス停の場所を教えたりして、それからお腹がすいているAラのためにご飯を食べに行こうということになった。
 しかし、時計を見たら11時だった。私は12時にHawaiian Restaurant Ono(Onoはハワイ語で美味しいの意)で待ち合わせをしていたのだった。私は先にOnoの近くで降ろしてもらった。


 そのレストランはKapahulu通りにあり、Date StreetとKapahulu通りの交差点のあたりにあるのだった。少し早かったので、交差点の反対側のスタバで時間をつぶし、そのあとレストランに向かった。BラとMツさんに会ったが、そのレストランは日曜日は休みだった。がっかりだ。
 したがって、Kapahulu通りを少しワイキキ方面へ降りて行き、チャイニーズレストランへ入った。Mツさんが「ここのオーナー友達やねん」と隣の洋服屋を指差して言った。
 チャイニーズレストランでいろいろと話したが、私は主に聞き役だった。おそらくあまり話せないので話すのが億劫なんだと思う。しかもずいぶん聞こえるようになったので、ただ聞いているだけでも楽しいのだ。Bラが言うことも前は一度ではよく聞く聞き取れなかったが、今は大体わかるようになった。
 その後はMツさんが知っているという洋服屋さんに入り、ちょっと気に入った服があったので試着をしてみた。そうしたらまあまあ似合ってそうだったので、買うことにした。「お茶でも飲んでいって」と言われ(オーナーさんは日本人なので日本語)ちょっとご馳走になることにした。オーナーさんのお友達という台湾人の女性が来て、その人とお茶をしながらずいぶん話した。しかしその女性の英語はわかりづらく、ゆっくり話してくれるのだがあまりわからなかった。Bラも後から聞いたらあまりわからなかったといっていた。
 何人かで話しているときに、Bラが私のことを頭がいいと言っていた。なんでそう思うのかよくわからないが、会社で忙しかったという話をしていたからだろうか。もしそうではなくて話をした感じでそう思ってくれていたのなら嬉しい。
 そのあとでビーチの方へ行った。カピオラニパークでドラッグ撲滅のようなテーマでライブをやっていたので少し見ていた。Mツさんはそこで帰ってしまったので、Bラとその後二人でビーチへ行った。


 海を見ながら少し話した。主に日本語で。
 私はよくどうしてフラが好きなのかと聞かれるが、上手く答えられない。Bラだったら何と答える? と聞くと、最初は英語で途中から日本語で「いろいろな人にいろいろなことを伝えるのは難しい。言語の問題もあるし。でも踊りはそういう壁がないし、フラはいろいろなことを表現できる」と。他の踊りにはあまりないの? と聞くと、「ないと思う。フラメンコはちょっと習ったけど大体激しい。フラは明るい曲、悲しい曲、いろいろあるでしょ」という。なるほど。
 Bラは私にとってある意味とても尊敬できる友達だ。私の周りに他にはいないタイプである。自分をしっかり持っていて、曲がったことが嫌いで、でもすこし怒りっぽかったり激しい面もある。人に興味があって、人と話すのが好きで。そして、上手く表現できないがなんだか広いところを見ている気がする。言葉の端々で、彼女から発せられるいろいろな質問や意見で、そういうのを感じる。
「Bラは自分をしっかり持っていて、私にとってとても新鮮なんだけど、オーストリアではみんなBラ見たいな考え方なの?」と聞くと、「多分違うと思う」ということだ。Bラは特別らしい。みんな大学を出たら忙しく働いて、結婚して子供を生んで、家を買って車を買って、という生き方を選ぶらしい。でもBラは違うのだ。
 どうしてそういう考え方になったと思う? と聞くと、家庭の事情が少々複雑で、そのせいがあるかもしれないといっていた。中学の時はいじめられたこともあると言っていた。みんなと考え方が違ったからと。
 日が沈む前に帰った。今日は眠い。